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使い方次第で信頼回復、上手な言い訳――謝罪、対処法具体的に。

(日経産業新聞,2006/09/08,ページ:23)

 取引先と進めていたプロジェクトが、部下のミスでストップしそうな重大事態に――。あなたは責任者として、社内で状況説明を求められたとしよう。いきり立つ周囲にどう説明するか。
 心理学専門の渋谷昌三目白大学教授は、下手な言い訳として「すいません。すべて私の監督不行き届きでした」と繰り返す例を挙げる。こうしたしゃくし定規な言い訳を繰り返すと、謝りさえすれば事が収まるだろうという下心があるように見え、逆効果と指摘する。
 上手な言い訳の例は「申し訳ありません。すぐに取引先に謝罪に行き、なぜミスが起きたかを早急に調べて報告します」という言葉だという。責任者ならなおのこと、言い訳のなかで可能な限りの具体的な対処方法を提示しなければならないとみる。
 うまい言い訳をするには「過去と未来を分離するのがポイント」と強調するのは、企業の危機管理コンサルタントを手掛けるリスク・ヘッジ(東京・港)の田中辰巳代表取締役。起きてしまった失敗にこだわり、反論や責任転嫁をするのは不信感が大きくなるだけ。「こんな風に改めます」と未来の対応を打ち出す必要があるという。
 この考え方は個人だけでなく、企業にも当てはまる。田中氏が最近の悪い事例に挙げるのが、パロマ(名古屋市)が販売した湯沸かし器によって多数の死者が出た一酸化炭素(CO)中毒事故。パロマは当初、「(利用者が施した)不正改造が原因」などと強調したが、後日、「安全管理に至る情報にきちんと対応できるよう、システム構築に努めたい」と一転して謝罪した。
 もちろん、謝罪とともにただちに根本的な解決策に取り組む必要がある。だが、問題発生直後には、単純な謝罪の繰り返しや反論でなく、今後の改善策をしっかり押さえたうえでの言い訳が重要といえそうだ。


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